この記事を要約すると...
インターネットなしでは生活しにくくなっている現代社会で、インターネットにうまく接続できないと、不便さが募りますね。電波がつながりにくい地域でもインターネットに接続できると注目されているのが、スターリンクアンテナです。今回は、スターリンクアンテナのメリットや料金、利用までの流れについて解説します。
スターリンクアンテナとは
スターリンクは、日本ではまだ始まったばかりのサービスです。アメリカのスペースX社(イーロン・マスクCEO)が提供しているインターネットサービスで、衛星通信を利用して接続できます。このスターリンクの電波を受信するアンテナが、スターリンクアンテナです。
これまで日本では、回線事業者が張り巡らせた光回線などを使ってインターネットに接続してきました。
一方、スターリンクは、宇宙の人工衛星を介してインターネットに接続できるため、固定回線などが必要なく、電波が届きにくい山間部や海上などでもインターネットが利用できます。
例えば、大きな災害が起こってインフラに影響が生じても、スターリンクアンテナを設置すればインターネットに接続可能です。
実際に、2024年1月1日の能登半島地震でもスターリンクアンテナが役立っています。被災地域では、地震によって基地局などの設備が損壊し、インターネットに接続できない事態が続きました。しかし、KDDIとソフトバンクの無償提供によってスターリンクアンテナが設置されたことで、インターネット環境を構築することができました。
スターリンクアンテナを設置するメリット
スターリンクアンテナを設置するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主なメリットを4つ紹介します。
メリット1|どんな場所でもインターネットに接続可能
スターリンク最大のメリットといえるのが、どのような場所でもインターネットに接続できる点です。
スターリンクアンテナが衛星を介して電波を受信できれば、地球上のどこにいてもインターネットに接続できます。
山奥や海の上、離島などこれまでは通信できなかった場所でも、スターリンクアンテナを使えば、インターネットを使うことが可能です。また、地震や土砂崩れなどで電信柱が破損したり電線が切れたりした場合でも、スターリンクアンテナには影響がありません。
また、電波が弱く、通信速度が遅い地域に住んでいる方でも、スターリンクを使うとインターネット環境が改善されます。ただし、スターリンクを利用するには各国の許可が必要なので注意しましょう。
メリット2|アンテナの設置作業が簡単
スターリンクは、工事不要で始められるのもメリットです。アンテナを設置し、Wi-Fiルーターの設定をするだけなので、届いた当日に使い始めることができます。
アンテナをスターリンクの衛星の向きに合わせて設置しなければなりませんが、調整は難しくありません。スターリンクアンテナには自動調整機能が備わっているため、極端に狭い場所でなければ、自動で方向が調整されます。
メリット3|快適な通信速度
スターリンクは通信速度が速く、快適にインターネットが利用できます。日本におけるスターリンクの回線速度は、上り速度25Mbps以上、下り速度150Mbpsとなっています。この数値は一般的な光回線サービスやホームルーターには劣りますが、モバイルルーターよりも速く、オンラインゲームをストレスなく楽しめる程度の速度です。
また、タイムラグが少ないのも利点です。スターリンクのping値(通信の応答速度を表し、数値が小さいほどラグが少なくなる)は、25〜98ms程度になっています。これは光回線には劣るものの、ホームルーターやモバイルルーターに比べるとラグが少ないという水準です。ただし、対戦型のオンラインゲームではping値の理想は15ms以下とされているため、対戦型のゲームをするときには注意が必要です。
メリット4|利用プランが豊富
スターリンクのプランは、個人、法人、海上・航空機の3つに大別されています。個人プランはレジデンシャルとROAMの2つがあるので、ライフスタイルに合わせて選択可能です。
レジデンシャルは、自宅や会社などひとつの場所で使用するプランで、ROAMは移動先で使用するプランです。ただし、日本国内では、スターリンクアンテナを陸地での移動中に使うことは禁止されています。
スターリンクアンテナを設置するデメリット
スターリンクアンテナにはデメリットもあります。
デメリット1|設置できる場所が限られている
スターリンクアンテナは、設置する場所が制限されるのがデメリットです。設置自体は難しくないのですが、空に遮る障害物がない場所に設置する必要があります。
例えば、建物の中や木に囲まれた場所では利用できないことがあるため、視界が開けた広い場所に設置する必要があります。
しかも、スターリンクアンテナは方向の自動調整機能があるため、アンテナの周囲360度に何も物がない場所が必要です。そのため、設置場所は屋根の上などの高所がおすすめです。設置したい場所によっては、開けた場所の確保に苦慮するかもしれません。
デメリット2|利用料が割高である
スターリンクの利用料は、他の通信回線と比較すると割高に設定されています。スターリンクは、本体のアンテナと毎月の利用料、アンテナの設置費用などがかかります。
個人プランでは、アンテナ代として55,000円の初期投資がかかり、利用料はレジデンシャル(自宅などへの固定配置)が月6,600円、ROAM(移動先用)は使用した月のみ11,500円です。他の通信回線はこれよりも安価で利用できるため、割高感が否めません。
しかし、リリース当初はそれぞれ12,300円と15,100円だったことを考えると、ややリーズナブルになっています。現状は他の通信回線より少し高いものの、あまり大差ない金額に近づいてきているため、利用しやすさは向上しているといえるでしょう。
スターリンクアンテナの設置場所はどこがいい?
スターリンクアンテナを設置するのは、空との間に障害物がない開けた場所がおすすめです。回転して方向を調整するので周囲に何もない場所が良いでしょう。庭や空き地など開けた場所に置くだけで設置完了です。
ただし、配線を引き込む必要があるため、建物の近くに設置するのがおすすめです。建物に近い場所に開けた広いスペースがない場合は、屋上や屋根に設置するのが良いでしょう。高所に設置する場合は危険が大きいため、業者に依頼するのがベストです。
スターリンクアンテナが利用できるまでの流れ
スターリンクアンテナを利用するまでにはいくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、利用するまでの流れについて解説します。
ステップ1|確認する
まずはスターリンクを使いたい場所は利用可能エリアかどうかの確認が必須です。確認にはスターリンクの専用アプリとスマートフォンのカメラを使用します。カメラで設置したい場所の周囲を撮影すると、衛星通信が可能かどうかを判別してくれます。
障害物などがあると、設置エリアの再考を提案されるので、アプリに従って再度選定します。また、通信可能なエリアはホームページでも公開されているので確認してみましょう。
ステップ2|申し込む
設置したい場所で電波が受信できることが判明したら申し込みましょう。申し込みは公式ページから行うことができます。申し込んでから1~2週間ほどでアンテナ一式が発送されるため、届くのを待ちましょう。
ステップ3|設置する
キットが届いたらいよいよ設置です。スターリンクアンテナは、本体、電源コード、接続ケーブル、Wi-Fiルーターなど、構成するすべての機器がつながった状態で届きます。ケーブルの緩みがないことを確認すれば、すぐに設置できます。
確認が完了したらアンテナ一式を開けた場所に設置しましょう。ケーブルは長く太く重量もあるため、扱いにくいおそれがあります。高所に設置する場合は、専門業者に依頼するのが賢明です。
ステップ4|接続する
アンテナが設置できたら、本体の電源を入れて通信するための設定を行いましょう。
まず、スマートフォンでスターリンクの専用アプリをダウンロードします。アプリを開いて、アプリ内のカメラ機能で、スターリンクアンテナの上空のスキャンを行いましょう。通信可能な衛星を自動で探し、見つかればアンテナの方向が自動で調整されます。
スターリンクに接続できた場合、30分ほど待てばオンラインになります。これで接続は完了です。
スターリンクアンテナの設置費用はいくら?
スターリンクアンテナを自力で設置できない場合は、業者に依頼しましょう。その場合の設置費用は5万円程度です。台風や雨で倒れないように強固に固定してもらえるほか、高所作業にも対応してもらえるため、取り付け工事が不安な場合はプロにお任せするのが得策です。
まとめ
スターリンクアンテナを用いれば、電波が受信できない場所でも開けた場所さえあればインターネットに接続できます。災害の現場などでも活用されており、注目されているサービスです。設置自体は容易なため、今後もさまざまな場所で利用が広がるでしょう。
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